氷山モデルで相手の立場になって考える
元エンジニアリングマネージャで、今は人事をやっています。
この記事は、Engineering Manager Advent Calendar 2019 - Qiitaの11日目です。
1年に1回、この時期しかブログを書かないので、なかなか筆が進みません。
エンジニアリングマネージャは、チームだったり、組織だったりを相手にして、いろんな問題解決をしますよね。 その時に、マネージャから上から目線で考えたりしているとだいたいうまくいきません。 そんなときに、大事なのは、「相手の立場になって考える」ってことだと思うのです。 しかし、この「相手の立場になって考える」ってのは、小学生からずっと言われ続けていると思うのですが、なかなか難しいです。 特に大人(?)になって、マネージャとかの役職や、組織などいろんな立場の違いができてくると余計に難しい気がします。
組織間でうまく行っていないケースのほとんどは、「相手の立場」を考えていないことから発生していると思っています。
とは言っても、「相手の立場を考えよう!」と言えばできるもんでもないので、僕が考えるときによく使っている「氷山モデル」を紹介します。
氷山モデルとは
氷山モデルとは、「学習する組織」という本の中に出てくる「システム思考」のフレームワークです。
ざっくり言うと、水面にちょっと出ている「できごと」だけを見て、物事を判断するのではなく、 水面下にある「行動パターン」「構造」「意識・無意識の前提」を捉えないと物事を見誤りますよという話です。
- できごと → 発生している事象
- 行動パターン → どういうパターンから事象が発生しているのか。
- 構造 → そのパターンを生んでいる構造は何か。
- 意識・無意識の前提(メンタルモデル) → その構造の意識的・無意識的な前提は何か。
正確な解説はこちらのページを御覧ください。 www.change-agent.jp
ちなみに、「学習する組織」の本は分厚くて難しいので、こちらの本がおすすめです。
- 作者:小田 理一郎
- 出版社/メーカー: 日本能率協会マネジメントセンター
- 発売日: 2017/06/24
- メディア: 単行本
何か解決したい問題が発生したときに、この「氷山モデル」のフレームワークに当てはめて考えてみると割と考えやすかったりします。 いくつかの事例を見てみます。あくまでもフィクションです。
事例1 若手がチャレンジしてくれないケース
できごと
若手が新しいことにチャレンジしてくれないことがあります。 EMとしては、もっといろんなことにチャレンジしてほしいのですが、なかなか思うようになってくれません。
行動パターン → どういうパターンから事象が発生しているのか。
では、その若手は、どういう行動パターンなのかと言うと、 目の前の業務(タスク)をやり続けています。 確かに、チームとしては、業務をやってくれた方が成果は出るのですが、 まだまだ若手なので、いろんなことにチャレンジしてほしいです。
構造 → そのパターンを生んでいる構造は何か。
どうしてどういう行動をとってしまうかというと スクラムチームで開発をしていているという構造から生まれているようです。 チームのメンバーとして、チームの成果に対してコミットするのが当たり前になっているのです。
意識・無意識の前提 → その構造の意識的・無意識的な前提は何か。
その前提としては、チーム活動なので、 * チームに迷惑かけたくない。 という思いもあるのだと思います。
こんな感じで氷山モデルに当てはめてみると「若手がチャレンジしない」という事象が、若者の立場になって考えられているような気がします。
事例2 チームのふりかえりが下手なケース
ふりかえりが下手なチームがあったとします。
できごと
発生している事象としては、 * 問題点の掘り下げが浅い * 本質的でないTryが出てくる みたいなことが発生しています。
行動パターン → どういうパターンから事象が発生しているのか。
そのチームの行動パターンをみていると
- 定期的にふりかえりをやるということがルーチンになっている。
- Pに対して、なんでも良いのでTを出すことでふりかえりを終わらせることが目的になっている。
みたいなことが見えてきます。
構造 → そのパターンを生んでいる構造は何か。
ではなぜそうなってるのかと言うと
- ふりかえりをやることが組織の暗黙のルールになっている
というのが構造的な原因な気がします。
意識・無意識の前提 → その構造の意識的・無意識的な前提は何か。
そして、前提としては、
- ふりかえりをしても、どうせ仕事でやることは変わらない。
- 義務感なので、ふりかえりが楽しくない。
というメンタルモデルが背景にあるようです。
まとめ
ちょっと事例が強引だったのでわかりにくかったかもしれませんが、こんな感じでチームの問題点を氷山モデルを使って分析した上で、
- できごと → 発生している事象
- 行動パターン → どういうパターンから事象が発生しているのか。
- 構造 → そのパターンを生んでいる構造は何か。
- 意識・無意識の前提(メンタルモデル) → その構造の意識的・無意識的な前提は何か。
の4つのどの階層でアプローチをするかを考えていくと、エンジニアリングマネージャとして効果的にチームと向き合えると思います。 とても使いやすいフレームワークなので、おすすめです。
今日中に公開しないといけないので、この辺で。